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コロナがつきつける新しい目的や態度の必要性


「新型コロナウィルスの不安に直面すること」をテーマにしたアメリカのユング派分析家たちの討論を聞いた。元型としてのペストを枠組みとしながら、ユング派的視点で現象を考察している。

ベックリン「ペスト」(1898) スイス、バーゼル美術館

ペスト(plague)の語源はラテン語のplangereに由来し、「まるで慟哭のように胸を貫く」という意味を持つ。

コロナ物語は、多くの人々に喪失や恐れや災難をもたらした。その破壊的な性質は、文化や規範を根本的に混乱させ、われわれがどんなに脆弱な存在であるかを見せしめている。

既成の文化や規律が崩された今、われわれは新たに、自らの内に、支えとなるような源を探さねばならない。夢(無意識)につながり身体につながり精神につながりながら、目的の方向転換や、新しい意味の発見などの新しい態度というべきものを身につけることが求められている。

This Jungian Life 2020年3月19日「新型コロナウィルスの不安に直面すること」の内容に基づく意訳。

“歴史に残るような大きな出来事も、深い部分では重要性をもたない。真に重要な意味をもつのは個人の人生に他ならない。「これ」が歴史を作り、「ここ」が大きな変革の糸口となる。世界の未来と歴史は、これらの個人を源とするものの大きな総和として立ち現れる。もっとも個人的でもっとも主観的な我々の人生において、我々は時代の受け身な目撃者とか被害者にとどまらず、時代をつくってもいる。我々はエポック(epoch)の創造主である。”
     ユング(C.G.Jung, CW 18, Para 1400.)

参考:This Jungian LifeのEPISODE 103 – FACING THE FEAR OF CORONAVIRUS: FINDING A GROUNDING ATTITUDE
このサイトで、3人のアメリカ人ユング派分析家の新型コロナウィルスをテーマにした英語座談会のポッドキャスト(60分)が聴ける。

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