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令和時代の幕開けと五月病

1989年1月7日、みなさんはどこで何をしていましたか?
まだ生まれてない、とおっしゃる方にはいっしょに懐古に浸っていただけませんが、昭和が終わり平成が始まった日、大学生だったわたしは、友人と、電気の消されたあやしげな雰囲気の薄暗いレストランで食事をしたことを覚えています。あれから30年。自粛ムードとは無縁の令和の幕開けは、日本では史上初のゴールデンウィーク10連休とも重なり、ミレニアム・カウントダウンを思い出させる盛り上がりだったようです。
 新しい時代の始まりは「幕開け」という言葉に表されるように、芝居が始まるときの観客の気持ちに似て、なんとなくこれから何か面白いことやいいことが起こりそうな期待感や高揚感をもたらしてくれます。しかし、個人の現実が、そんなにコロリと変わるはずもありません。 
 「五月病」が知られている日本では、毎年、ゴールデンウィーク明けに自殺が急増するという統計が出ています。美しい季節で周りが幸せそうなときに、自分の不幸が、余計みじめに感じられるということもありますが、「約束破りの効果(the broken promise effect)」という説もあります。春になると希望を抱く心理が生まれ、その希望と現実とのギャップが、自殺の引き金になるのではないかというのです。
  北欧では冬の日照時間の少なさがうつ病の原因になると言われていますが、周りの話題や季節の明るさや暗さ、どちらにも振り回されないで自分を保てるようにしたいものです。

「令和」三体 / 大木ひさよ(号 水香)書

※ストックホルム日本人会会報88号(2019年春夏号)に掲載した内容です。

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