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分析家のわたしが分析を受ける理由

久しぶりに自分がクライエントとして分析を受けている。

ユング派の分析家の資格を取るための条件には、300時間の分析を受けるというのがあるが、資格を取ったあとの分析家には、分析を受ける義務はない。義務や、差し迫った必要のないわたしが時々、分析を受けるのは、分析家として向上するため、と言いたいところだが、それは表向きの理由にすぎず、本当のところは、自分の無意識からレッドカードをつきつけられるからだ。
(つまり、笑うせぇるすマンに「ドーン」とやられる。(詳しくはこちらのページ参照)

わたしに出されるレッドカードは、いつも決まってアトピー症状。

ふだんは、肌が人より乾燥しているという程度なのだが、たまに、手のひらに湿疹が出きて、それがひどくなると浸出液でベトベトになり、自分の手で顔を洗うこともできないほどの重症になる。

自分のアトピーが心身症だということは、何度つきつけられても、毎回、認めるのが難しい事実だ。(心身症についてはこちらのページ参照。)

「忙しすぎてストレスがたまってると思ったら、アトピーが出た。」とか「職場の人間関係で悩んでいたらアトピーが悪化した。」などならわかりやすく、納得できていい。実際にわたしも、引っ越しのパニックの中でアトピーが一時的に勃発したこともある。でもたいていの場合、わたしのアトピーには、原因に思い当たる節がない。こんな仕事をしている人間には珍しく、わたしはストレスや悩みを自覚することのない気楽な毎日を過ごしているので、心理的原因が探し出せない。それで、食べ物? 空気? 水? 埃?と、まずは外的要因を見つけようとする。

そして、これという外的原因が見つけられなくて、”Something is wrong with me?”わたしのなにかが間違ってるのだろうか。と、疑い始め、こんどは一体、なに!?と、憤りを感じながらも観念して、自分の分析家に予約を入れる。

何度経験しても不思議に思えるが、分析の予約を入れたこの時点で、それまで「永遠に治らないのではないか。」と思うほどひどかったアトピー症状が快方に向かい始めることも多い。「わかればよろしい。」と、無意識サマのお叱りの威力が弱まるように感じられる。

さらに、わたしがSomething is wrong with me.を認めたことに機嫌をよくした無意識サマが、ご褒美までくれるかのように、分析を受ける前には、必ず面白い夢を見る。(といっても、夢を見たときには、自分ではその面白さがわからないことが多く、分析を受けてはじめて感動する。)

分析を受けることも夢分析もやっぱり、本当に面白い。

今回も、わたしに突きつけられている課題が明らかになった。アトピーはもう治っているが、しばらく分析を続けることになりそうだ。

一般的には、精神分析を受ける理由は、苦しみから逃れたいためだったり、自分をもっと知りたいためだったりするが、最近のわたしの場合は、どちらでもない。ぬるま湯に浸かってゆっくりしているとお尻を蹴飛ばされるので、仕方なく、分析を受ける。

ユングの言う個性化のプロセスは、一生続くものだ。個性化を促す方法は、精神分析以外にもいろいろあるが、わたしには分析を受けることが手っ取り早い。

人生は、わたしたちに成長すること、そして自分自身の人生に責任を負うことを要求する非情なものである。
(ジェイムズ・ホリス「ミドル・パッセージ―生きる意味の再発見」より」)

いつかどこかで引用したリルケの詩をもう一度。

物の上にひろがって大きくなる
輪のような生を私は生きている。
おそらく最後の輪を完成することはないだろう。
しかし私はそれを試みようと思っている。
私は神のまわりを、太古の塔のまわりを廻っている。
そしてもう千年も廻っている。
しかも私はまだ知らない、自分が一羽の鷹であるか、一つの風であるか、
それとも一つの大きな歌であるかを。
(尾崎喜八、訳)

おまけ

偶然にも、古いクライエントさんから、期間限定で分析を再開したいというメールが届いたので、わたしもちょうど自分の分析を再開したところだと返信ついでに書いたら、

「分析再開・・そうですか、お互いがんばりましょう・・(結構憂鬱)」

と返信が来た。

分析を受けるのは面白いと書いたが、こんなに面白いことはあんまりないというぐらい面白いと思える一方、その面白さは重いものであるのも確か。重い上に料金も高いので、なおさら億劫になる。
・・クライエントのみなさま、お互いがんばりましょう・・

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